2012年12月のW3C: HTML5が勧告候補に
HTML5が勧告候補に
12月17日付けで、HTML5, Canvas 2D Contextが勧告候補として公開されました。
「勧告候補 (Candidate Recommendation)」とは、レビューが広く行われ、実装を呼びかける段階と判断された仕様です。HTML5という巨大な仕様がおおまかに固まったことから、プレスリリースを伴うニュースとなりました。
もっとも、HTML5についていえば、それ以前よりWHATWGでの仕様策定が進んでいたこと、ブラウザーでの実装や利用が進んでいることもあり、実装の開始という意味合いは薄いです。大きな変更が想定されないところまで、HTML5仕様が安定したと判断されたことが大きいでしょう。
HTML WGは今後、2014年の勧告にむけ、テストスイートの作成と検証を進めていきます。大きな仕様ですから、すべての機能に対しテストケースをつくればスケジュールに影響します。そこで、すでにWebサイト・Webアプリによる「実践テスト」が充分に行われている機能についてはテストを作成しないなどの方針が取られるようです。
HTML 5.1と拡張仕様の公開
HTML5の勧告候補にあわせ、HTML 5.1, Canvas 2D Context Level 2の草案、HTML5拡張仕様のmain element仕様の草案も公開されました。
勧告候補となったことで、HTML5仕様に対し機能の追加は望めません。しかし、新しい機能の要望は絶えません。こうした新しい機能については、HTML 5.1もしくは拡張仕様と呼ばれる仕様で補完する仕組みで対処することが発表されています。
main
element仕様は提案されている拡張仕様のひとつで、role="main"
を新たな要素として定義します。id="main"
といったマークアップの慣習も置き換えられることからすでに多くの支持を得ています。仕様の提案者やその支持者によってWebKit, Geckoにパッチが提供されるなど、実装にも動き出しています。
Pointer Events仕様が公開
12月11日付で、Pointer Eventsの草案が公開されました。
Pointer Events仕様は、マウスやタッチスクリーンなど異なる入力形式を「ポインタ」という抽象的な入力形式ととらえ、ポインタ入力に関するイベントやインターフェースを定義します。MicrosoftがW3Cに提案し、11月にWorking Groupが設立されました。
CSS3 Fontsモジュールの更新
12月11日付で、CSS3 Fontsモジュールが更新されました。
この草案では新たに、Webフォントの読み込み状態を知るためのイベントとインターフェースFontLoader
が定義されました
CSS Conditional RulesモジュールがLast Callに
12月13日付で、CSS Conditional RulesモジュールがLast Callとして公開されました。
Conditional Rulesモジュールでは、あるプロパティもしくは値がサポートされているかを確かめる@supports
という@ルールが定義されています。@supports
はOpera 12.10で実装されたほか、Firefoxもリリース版以外で実装しています。
CSSの@ルールのほか、JavaScriptからサポート状況を検知するwindow.CSS.supports()
というインターフェースも定義されています。こちらは先日、Firefox Nightly (20) に実装されました。
Selectors API Level 1が勧告案に
12月13日付で、Selectors API Level 1が勧告案になりました。
Selectors API Level 1では、document.querySelectorAll()
をはじめ、セレクタから要素を取得するインターフェースが定義されています。すでに主要ブラウザすべてで実装され、勧告への条件を満たしたことから勧告案に進みました。
WOFF 1.0が勧告
12月13日付で、WOFF File Format 1.0が勧告として公開されました。
WOFF 1.0はWebフォントのためのパッケージ仕様です。すでに多くのブラウザで実装され、TypeKitなどWebフォント提供サービスでも利用されています。
Navigation TimingとHigh Resolution Timeが勧告
12月17日付で、Navigation TimingとHigh Resolution Timeが勧告として公開されました。
Navigation Timingは、DNSルックアップの開始・終了やリクエスト開始・終了など、ページの読み込みにおける様々な時間情報を取得するインターフェースを定義します。多くのブラウザで実装されており、このたび勧告となりました。
High Resolution Timeは、パフォーマンス関連API仕様で使われるDOMHighResTimeStamp
インターフェースと、その値を得るperformance.now()
メソッドを定義します。Navigation Timingでは使われていませんが、後継のNavigation Timing 2ではDOMHighResTimeStamp
を使うように更新されています。