Smart Communication Design Company
ホーム > ナレッジ > Blog > Web標準Blog > 2010年2月 > 来期のWebApps WGは何をする?

来期のWebApps WGは何をする?

2010年2月12日
フロントエンド・エンジニア 矢倉

今年の6月末に活動期限を迎えるW3CのWebApps WGですが、来期に向けた取り組みがすでに始まっています。数日前に新しい憲章のドラフトが公開されましたので、今回は次のWebApps WGがどのような活動を検討しているのかをみていきましょう。

入力イベント、通知、メッセージング

新たな仕様として策定を検討されているものは、次のとおりです。

Alternate Input Device Eventsは、マルチタッチ対応トラックパッドといったデバイスの入力や、ジェスチャーといった入力方式に関連するイベントを定義するものとされています。

Web Notificationsはメール受信やイベントのリマインダなど、Webページ外で非同期に行われる通知に関するAPIになります。

Web MessagingはWeb WorkersやWeb Socketsをはじめ様々な機能で利用されているMessageEventイベントやpostMessage()などを定義する仕様です。HTML5の一部として存在していましたが、すでに分離およびWebApps WGへの移管が決定されており、もうじき公開されるであろう新しいHTML5草案においてはすでに削除されています。

HTML5関連仕様

昨年より、Web Storage, Web SQL Database, Web Sockets API, Web Workers, Server-sent Eventsなど、いくつかの機能がHTML5より分離され、WebApps WGに移管されています。

ドラフトによると、これらの仕様に加え、次のHTML5関連機能についてもWebApps WGでの策定を検討しているようです。

Web Messagingは上記で説明した通りですが、簡単にClipboard Operationsについて補足しましょう。

Clipboard Operationsはその名の通り、カット/コピー/ペースト、ドラッグ&ドロップなど、クリップボード操作を行うAPIになります。この仕様は、ドラッグ&ドロップ機能がHTML5で定義されていることもあったせいか、数年前に編集者ドラフトが作られて以降進展がありませんでした。

しかし、HTML5からドラッグ&ドロップによるコピー/ペースト機能が先日削除されたこと、またHTML5からの機能分離が行われていることをふまえ、来期でも引き続き検討されることになっています(現段階では、HTML5内で定義される可能性もあると記されています)。

APIの基盤固め

相互運用性への取り組みや、APIの基礎を安定させる試みも行われます。

Web IDLはAPIのインターフェース定義中の項目が、ECMAScriptなどの言語実装とどのように結びついているかを細かく定めている仕様です。昨今のDOM APIを提供する仕様の多くがWeb IDLを参照しており、仕様の完成が急務とされています。現在はEcmaのTC-39と共同して、改訂されたECMAScript 5との連携が進められています。

DOM仕様の改訂については、策定が中断され、昨年ようやく再開されたDOM 3 EventsやDOM 3 Coreの改訂が大きなタスクになるでしょう。DOM 4ですが、Coreにはこれまで実装されていたものの標準化されていなかった機能、EventsではDOM 3 EventsでDeprecated扱いになったMutation Eventsの代替案が盛り込まれるものと考えられます。

憲章のドラフトには他にも、先日草案が公開されたSelectors API Level 2, Uniform Messaging Policyをはじめとして、これからのWebに重要な仕様がいくつも並んでいます。