Last Callに向け進むHTML5
HTML5の新しい草案が、本日公開されました。
いつもの通り、変更点の日本語訳を更新しています。
前回の草案との差異から、気になったものを取り上げてみます。
spellcheck
属性の追加。Chromeで実装されているようです。- SVGの
text/html
における処理の追加。追加されて間もなく、また提案段階ですので、実装はありません。
さて、前回の草案が2月12日公開ということから、2ヶ月ちょっとでの更新となります。前回の草案については8ヶ月も間があったわけですが、いったいこの早期の更新は何を意味するのでしょうか。
制作者のためのHTML5
ひとつは、仕様書に大きな手が加わったことです。
HTML5の仕様書は、「実装要件」と「制作者の要件」というターゲットの異なる項目をひとまとめにしているため、特に制作者にとって読みにくいものとなっていました。制作者のための補足文書についても作業が行われているのですが、まだ草案にはなっていません。
そこで今回、「制作者むけの文書」と「実装要件を明確にする文書」というふたつの代替スタイルシートが追加されました。
- Complete specification
- これまでと同じものです。こちらが規定のスタイルシートになっています。
- Author documentation only
- 制作者に関係する要件のみを表示させるスタイルシートです。
- Highlight implementation requirements
- 実装要件について述べた箇所の背景色が変化します。
“Author documentation only”を選ぶと、ある程度文書がコンパクトになります。要素の意味定義のみを知りたいという場合には、このスタイルシートがとても役に立ちます。
機能の分離
もうひとつは、HTML5で定義されていた機能のいくつかが分離されたことにあります。
今回のドラフトでは、Web Sockets, Web Storage, Server-Sent Eventsの3つが分離されました。これらはWeb Applications WGに移管され、以前に分離されたWeb Workersとあわせて、おなじく今日、草案が公開されています。
HTML5には他にもいくつか、分離される可能性のある仕様が存在しています。リソース不足やそのものの策定状況などもあるので時期などは分かりませんが、今後も移管などの動きは行われると考えています。
Last Callは今年10月?
HTML WGは現在、HTML5をLast Call(最終案内)とするための作業を行っています。Last CallはWG内でひととおり作業を終了したことを示す段階なので、現在HTML WG内で検討している課題について解決することが急務となります。
最終草案として出せる段階になるのは、今年の10月と予想されています。とはいえ最終草案ですので、勧告候補や実装、勧告までにはさらに長い長い年月がかかるでしょう。2010年9月の勧告ということはありませんが、実装が既に始まっている機能もあるため、CSS 2.1のように「勧告まではいかないけれど、安定している」状態が長く続くのではないかと思っています。
コメント
貴重な情報ありがとうございます。非常に参考になりました。
菊池さま、コメントありがとうございます。
他に「○○について知りたい」などありましたら、お気軽にコメントやメールでお問い合わせください。可能な限りですが、調べさせていただきます。