2011年9月前半のW3C
CSS WGから3草案
9月1日付で、CSS WGから以下の草案が公開されました。
新しく開されたConditional Rulesは、UAのサポート状況や文書URLをもとに、CSSで条件分岐を行う仕組みを提供します。
CSSは知らないものは無視するという仕様があり、それをフォールバックとして利用できますが、Grid LayoutやCSS Regionsなどの新しいレイアウト仕様や、CSS Animationsなど実装のまだ少ない仕様では、うまくフォールバックさせられない懸念があります。これらに対し、Conditional Rulesでは@supports
というブロックを導入し、サポート状況による条件分岐を提案しています。
文書のアドレスでスタイルを切り分ける仕組みは、Mozillaの@-moz-document
の仕組みを拡張したものです。ユーザースタイルシートで特に便利でしょうか。
CSS3 Values & Units
9月6日付で、CSS WGよりCSS3 Values & Unitsモジュールの新しい草案が公開されました。
前の草案が5年前のものと古く、CSS 2.1の勧告もあったことから、再構成が行われたとのことです。
WebAppSec WG設立
9月7日付で、Web Application Security Working Groupの設立がアナウンスされました。
Webアプリケーション関連技術にはいくつかのセキュリティポリシーがありますが、それらに仕様がないため相互運用性を欠くという問題意識のもと設立されたようです。
活動内容としては、セキュリティポリシーに関する仕様を策定するようです。これまでWebApps WGで策定されていたCORSなどをベースにしたSecure Cross-Domain Resource Sharingという仕様や、Mozillaが提案しGeckoに実装し、後にWebKitも追従したContent Security Policy (CSP)という仕様の規格化は、ベースがすでに存在し、実装も進んでいます。
そしてクロスドメインのフレーム間でのやりとりを安全に行うSecure Cross-Domain Framingについては、CSP, iframe
のsandbox
属性、X-Frame-Options
ヘッダなどいくつかの仕組みがあるので、CSPをベースに、統一要件を定めていくやり方をとるようです。IETFのWeb Application Security Working Groupとも強調していくようです。
CSS Image Values & Replaced Content
9月8日付で、CSS WGから新しいCSS3 Image Values & Replaced Contentモジュールの草案が公開されました。
Tracking Protection WGの設立
9月8日付で、Tracking Protection Working Groupの設立がアナウンスされました。
Tracking Protection WGは、インターネット上で利用者の行動を追跡するものについて、ユーザーの意志を示す仕組みを定義し、プライバシーやセキュリティを向上させることを目的としています。
昨年終わりにFTCのレポートで"Do Not Track"という仕組みの提案を行なってから、ブラウザやコンテンツ提供者がどのような仕組みを実装すればよいのかという議論が行われていました。W3Cは4月にトラッキング防止に関するワークショップを開催しており、そこでの議論をもとに今回のWGの発足に至ったようです。
Touch Events version 1のLast Call
9月13日付で、Web Events WGからTouch Events version 1の草案がLast Callとして公開されました。