W3CのCommunity GroupとBusiness Group
W3C Blogで、Community GroupとBusiness Groupのベータプログラムが開始された旨がアナウンスされました。
これらのグループについては「W3C 2011: プライオリティとマイルストーン」で少し触れていたものの、詳細については説明していませんでしたので、今回取り上げてみたいと思います。
Community GroupとBusiness Groupは、Working GroupやInterest Groupといった、W3Cでの活動形態に新しく加わった仕組みです。グループの概要をまとめたページのほか、過去のW3C Blogの記事が分かりやすいです。
Community Groupは、仕様の策定やテストスイートの作成、仕様に関する議論などを行う公開グループです。WGやIGとの違いは、Community Groupの設立にグループ憲章の作成が必要ないこと、常に公開されたグループであることなどがあります。
HTML5の注目が高まり、またブラウザでの実装が進むなか、関連するAPI仕様の数が増えています。また、ひとつの仕様が定義する機能もコンパクトにまとめられています。新しいAPIは開発者やブラウザベンダのニーズなどから生まれていますが、これまでのW3Cのプロセスでは、WGを組織するためにはまず憲章をつくり、W3C会員のレビューを募りといったステップが必要で、時間がかかっていました。また、W3Cに加盟していない組織や個人の参加という点で課題がありました。
Community Groupであれば、簡単なステートメントを書き、5人のメンバーがいれば設立できるという、かなり簡単なシステムをとっています。知的財産権に関する配慮もされていて、企業からの参加も安心してできるようです。Community Groupで策定する仕様はW3C勧告トラックにはないのですが、WGの設立につなげるなどパスが引かれていることも重要でしょう。
Business Groupは産業界でのWeb技術利用に関するグループです。W3Cに加盟せずとも会費を払えば参加できるというのが大きな特徴でしょうか。
ベータ期間では「Declarative 3D for the Web Architecture」「Web Payments」「XML Performance」の3つに関しグループをまず組織します。期間中に5~8つのグループを組織するようで、7/25から一般開放される(登録や参加が自由にできる)ようです。