2010年10月前半のW3C
10月は公開された仕様が多いため、前半と後半に分けて紹介します。
CSS3 Text草案
10月5日付で、CSS WGよりCSS3 Textの草案が公開されました。
2007年の草案からの変更点は11.3. Changes from the March 2007 CSS3 Text WDにまとめられています。CJKやbidiなど、国際化を意図した変更が多くを占めています。
デバイスAPIとパーミッション
10月5日付で、DAP WGよりPermissions for Device API Accessの草案が公開されました。
Geolocation APIやFile APIなど、デバイスの機能と連携するWeb API仕様の策定が進んでいますが、システムへのアクセスを行うこともありセキュリティなどの観点から、どの機能がパーミッションを必要とするかを知ることが重要になります。 この草案は、さまざまなWeb API仕様で定義されるAPIのうち、パーミッションに関するものをまとめたものになります。
Web DOM Core
10月7日付で、WebApps WGよりWeb DOM Coreの草案が公開されました。
DOM Core仕様は2004年にLevel 3が勧告されていますが、ブラウザーの実装と仕様書の記述に食い違いが存在しています。どういう違いがあるかは、現在のEditorであるAnne van Kesterenが自身のブログに投稿した記事が参考になるでしょう。
Web DOM Coreのゴールは、次のようなものです。
- DOM Coreを可能な範囲でECMAScriptのニーズに合わせる
- DOM Coreを既存の実装と合わせる
- DOM Coreを可能な限りシンプルにする
- HTML5で定義される機能のうち、DOM Coreに入るべきものを取り込む
- HTML5への依存を防ぐ
また、DOM3 Coreを置き換えるものではないとも明言されています。
CSSのスタイル属性
10月12日付で、CSS WGよりCSS Style Attributesの勧告候補が公開されました。
HTMLやSVGにはインラインスタイルを書くためのstyle
属性が定義されています。この属性とCSS仕様の関係を定義するのがCSS Style Attributesです。
勧告候補ではありますが、style
属性はずっと前から実装されていることもあり、ステータスを気にする仕様ではありません。
WCAG 2.0の関連文書
10月14日付で、WCAG WGよりUnderstanding WCAG 2.0とTechniques for WCAG 2.0とグループノートが更新されました。
今回の更新は内容の明瞭化のほか、Flashとアクセシビリティに関する内容が追加されています。アクセシビリティBlogで取り上げられていますので、そちらもお読みください。
なお、今回の更新はまだ反映されていませんが、UnderstandingとTechsは、WAIC(ウェブアクセシビリティ基盤委員会)によって日本語訳が公開されています。
Understanding, Techs, WAICについては、JIS X 8341-3:2010をテーマに先週公開された「辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」第37回でも触れられています。