「State of the Web 2008」の結果が公開
Web Directionsより、“State of the Web 2008”という、昨年12月に行われた、Web技術者の環境に関するサーベイの結果が公開されています。
今回はこの結果から、いくつか気になった項目を取り上げてみようと思います。
結果一覧
サーベイの結果と考察は、いくつかのカテゴリーに分けられ公開されています。
- Who was surveyed?(回答者の業種や会社の規模など)
- Browsers and Operating systems(ブラウザーとOS)
- Markup(HTML文書)
- CSS and other Presentation technologies(CSSや視覚表現)
- JavaScript, Ajax and the DOM(JavaScriptやAjax, DOM)
- Flash, Silverlight, and other embedded content(Flashなどの埋め込みコンテンツ)
- Back end development languages and systems(バックエンド環境)
- Conclusions(まとめ)
制作環境とブラウザー
利用するOSについてですが、Macの利用率がWindowsとほぼ同じという結果になっています。海外ではMacのシェアが急激に増加していること、また回答者にデザイナーや開発者が多いのも理由のひとつと考えられます。
普段利用するブラウザーは、Firefox 3が全体の6割、Safari 3が2割といった、一般的なシェアからはかなりかけ離れた結果となっています。Firefoxについては、やはりFirebugやWeb Developerなど、Web制作に必須とさえ言われているアドオンの存在が大きいのでしょう。
テストに使うブラウザーは、回答者の9割がIE7, Firefox 3でチェックし、IE6やSafari 3についても8割の人がチェックしている結果となっています。Firefox 2やOperaについても5割近いなど、新旧あわせ複数のブラウザーでチェックしているのは、どこも同じのようです。
制作手法
どのブラウザーでについて、「Web標準で制作し、その後個別のブラウザーやレガシーな環境への対応を行う」というものが76%を占めています。Web標準による制作手法が一般化したこともありますが、ブラウザーの準拠度合いやレガシーなブラウザーへの対応手法が成熟したことの表れでしょう。
また、複数のブラウザーで開発する際ポリシーについて、「見た目をどのブラウザーでも同じにする」という回答が24%であることに対し、「基本はそうだけれど、新しいブラウザーでは新しい機能も使っている」というのが57%と多く、すこし驚かされました。Progressive Enhancementの考え方がかなりの人に受け入れられているようです。
DOCTYPEとvalidation
採用する言語はXHTMLのみとの回答が最も多く、基本はXHTMLで、状況に応じHTMLにするという回答をあわせると、「XHTML派」は全体の7割以上に達しています。
採用する文書型は、XHTML 1.0 TransitionalとXHTML 1.0 Strictが肉薄しており(34%と31%)、すこし驚きました。Web Directionsは先進技術や手法について取り上げるカンファレンスでもあることから、回答者のWebに対する意識が高いということかもしれません。
しかしながら、作成したサイトを検証するかという質問に対して、4分の1ほどが「あまりしていない」もしくは「していない」という回答を行っています。XHTMLを採用する人が多いなか、作成したページの検証を行わないというのは、整形式であることを必須とするXHTML文書の作成において、あまりよいとは言えないでしょう。
そのほか
SVGとcanvasについての調査では、SVGを利用した事のある人の割合がcanvasのそれよりよりも高いなど、なかなか興味深い結果もあります。回答者に関する考察にも、「アーリーマジョリティよりはアーリーアダプター」という見解がありますし、かなり技術に積極的な方が回答していたようです。