WCAG 2.0がW3Cの勧告に
2008年12月11日
Matt May著
(この記事はWeb Standards Project(WaSP)における投稿記事「WCAG 2.0 is a W3C Recommendation」を翻訳したものです。当Blogは翻訳の正確性を保証いたしませんので、必要に応じ原文を参照ください。)
9年半の作業の後に、Web Content Accessibility Guidelines 2.0がW3Cより勧告されました。WaSPのアクセシビリティ・タスクフォースを代表して、WCAG 2が正式にWeb標準の仲間入りを果たしたことを歓迎したいと思います。
以下に引用するcaledoniamanのつぶやきは、期待を言い表していると思います:
WCAG 2.0とGuns ‘n’ Rosesのニューアルバムが同じ年にリリースされるとは。えらい世の中になったものだ。
面白い対比ですね。いずれも、多くのプレリリースを送り出してきました。8年のあいだ取り組んで来た結果として、私がとにかく言えることは、WCAG 2は「Chinese Democracy(訳注:Guns ‘n’ Rosesのアルバムのタイトル)」ほど楽しめるものではない、ということです。しかしテストに時間をかけてきたぶん、WCAG 2の公開は一枚上手だと思います。
WCAG 2について、最も嬉しく思うことを一つ挙げるなら、WCAG 1におけるHTMLやテキスト中心主義がほとんどなくなったことです。代わりに、ずっと柔軟性のある(あえて言うなら堅牢な?)概念、すなわち「アクセシビリティをサポートしている技術」が登場しました。アクセシブルな新技術が姿を現しても、WCAG 2に準拠したコンテンツに利用することができます。
何年にも渡り、多くの人々が「WCAGへの準拠」を「アクセシブルであること」と混同してきました。その結果、「非アクセシブルになるからJavaScriptを使ってはいけません」など発言する人も現れました。これは、障害を持ちながらも実際にはJavaScriptを利用できるユーザー(つまり実に大勢の人々)からWebデザイナーや開発者、ポリシーを策定する立場にある人々、新技術を開発する人々に至るまで、誰にとっても良くないことです。
WCAG 2においては、「○○を使ってはいけません」という言葉は最早、通用しません(そのようなことがかつてあったでしょうか?)。それはあなた、つまりコンテンツのアクセシビリティに携わる開発者次第であり、あなたがどの技術を使用するかに依りません。結果的に、私たちはアクセシブルなデザインテクニックの新たなトレンドを経験しつつある、と私は信じています。
しかしまず、私たちは「○○を使ってはいけません」という言葉を捨て去る必要があります。気に入らないことなら何に対してでも、その言葉を口にするよう慣れてしまっている人々もいます。それではアクセシブルなデザインを退化させるだけです。今こそ、何が利用できるのかを知り、それを日々のWebデザインに取り入れるべき時です。そして、皆のWebをもっとアクセシブルにすべき時です。WCAG 2.0勧告や、関連文書をご覧ください。次に、よりアクセシブルなWebとはどうあるべきか、考え始めてください。取り組むべき課題なら、まだまだ多くあります。