移りゆくモダンブラウザー
2008年も残すところあと3週間ちょっととなりました。
そこで、今年のまとめというわけではありませんが、2008年12月時点での各モダンブラウザーの現在やこれからについてまとめてみました。
Internet Explorer
「IE8の開発版がAcid2をパスした」との発表から1年が経ち、IE8の開発も最終段階にきているようです。
リリース時期ですが、IEBlogの“IE8: What’s After Beta 2”において、来年第一四半期にRC(リリース候補)版を公開し、その後に正式リリースとなる旨がアナウンスされました。
RC版では、Beta 2に搭載された「互換表示」機能の改良版が搭載予定です。“Compatibility View Improvements to come in IE8”という記事にこれまでの流れと改良点について述べられています。
それによると、これまでは崩れるサイトに対し、ユーザーが逐次ボタンを押す必要がありましたが、RC版には予め崩れることが分かっているサイトのリストを用意し、自動的に互換表示が適用されるようになるとのことです。
このため、大手サイトであれば、IE8のリリース時に、その対応に手を焼くといったことが少なくなると思われます。とはいえ、設定で無効にされる、データベースに登録されないなどの理由で、崩れてしまう可能性はなくなったわけではありません。制作者が今のうちから表示モードを指定することで、ページをIE7相当で読み込ませることが可能です。モードスイッチと切り替え方については「IE8のモードスイッチ」にて簡単にまとめていますので、参考にしていただければと思います。
また、IEとWeb標準に関するこれまでの動きと、metaの書き方など緊急対策の手法について「Web Designing 2008年11月号」に執筆しています。
Opera
12月4日に、Opera 10 Alphaが公開されました。レンダリングエンジンのアップグレードが中心となったテスト版のようです。Desktop Teamからのアナウンスによると、高速化やメール機能の強化も図られているようです。
仕様のサポート状況については、Dev.Operaの“Opera Presto 2.2 and Opera 10 — a first look”という記事で解説されています。Web FontsやSelectors API、CSS3 Colorなどがサポートされ、Acid3を通るようになったとのことです。
Firefox
Firefox 3.0が6月にリリースされてから半年弱が経過し、移行も順調に進んでいるようです。Firefox 2は今月半ばでサポート終了予定のため、その後のセキュリティ対策を考えて、アップデートは早めに行っておくべきでしょう。
さて、今朝になりますが、Firefox 3.1 Beta 2がリリースされました。来年正式リリースのFirefox 3.1では、CSS3セレクターのサポート強化や、Web Fonts, Web Workers, HTML5のaudio/video要素など、新しいWeb標準へのサポートが多く見受けられます。Firefox 3.2についても計画されているようで、引き続き今後が楽しみです。
Safari
Safariについては、3.1のリリース以降大幅な機能拡張が行われなかったため、あまり目新しいニュースがありません。しかし、次のバージョンであるSafari 4の開発が進行中です。Safari 4では、新しいJavaScriptの処理エンジンであるSquirrelFishが搭載され、またAcid 3に関連するWeb標準や、HTML5の各機能がサポートされるようです。
リリース時期は未定ですが、次期Mac OSのSnow Leopardが来年出荷予定であることから、それにあわせたリリースになるのではないかと予想しています。
Google Chrome
9月に登場して注目を集めたGoogle Chromeですが、その後もバグ修正やセキュリティ修正など、細かなアップデートが行われています。ブックマーク管理画面なども追加され、普段の利用には特に問題がないように感じています。OEM供給でのプリインストールが行われる話もあることから、今後の展開も面白いものとなりそうです。
マーケットシェア
今月始めに、Firefoxのシェアが20%を超えたというニュースが飛び込んできました。Firefox 3とFirefox 2をあわせると、IE6と同程度のシェアを持つことになります。IE7の次にFirefox3が入るのも、そう遠くはないのではないかと考えています。
シェアの増加はFirefoxだけではありません。Safariの伸びも著しく、7%のシェアを持つまでに成長しています。また、レンダリングエンジンのWebKitはiPhoneはもちろん、Google ChromeやAdobe AIR、Dreamweaver CS4、Androidなど多方面で利用されており、高く評価されています。iPhone, AndroidがWebKitを採用していることから、モバイル機器向けブラウザーの今後についても見逃せなくなりそうです。