WAI-ARIAの現状と課題
Webアプリケーションでアクセシビリティを確保するための仕様、WAI-ARIAの新しい草案が2月4日に公開されています。
WAI-ARIA Version 1.0と名づけられた新しい仕様は、昨年公開された二つの技術仕様(RolesとStates and Properties)を統合したものです。内容はほとんど完成しているようで、年内にはに完成するとの見解も示されています。技術仕様だけではなく、入門文書やベストプラクティスの草案も公開されています。
仕様の策定だけではなく、ブラウザや支援技術の対応も既に進んできているようです。夏ごろにリリース予定のFirefox 3はWAI-ARIAを完全サポートするようですし、JAWSやWindow-Eyesといったスクリーンリーダーもサポートを表明しています。また、JavaScriptツールキットであるDojoは早くからWAI-ARIAをサポートしています。
しかしながら、ブラウザベンダやツールキットのすべてがWAI-ARIAの対応をしているわけではありません。また、すべての支援技術ベンダがサポートを表明しているわけではありません。日本の支援技術ベンダも同様であり、言語の壁などから実装も遅くなるであろうという懸念があります。サポートを表明できない理由として、WAI-ARIAはOSのアクセシビリティAPIやHTML、DOM、JavaScriptなど関連する技術が多く、また複雑であることから対応が難しいという事情があるようです。
また、WAI-ARIAが普及するのか、という疑問も見られます。WAI-ARIAはブラウザや支援技術が対応すればよいわけではなく、Webアプリケーションを構成するXHTMLにも手を加える必要があります。しかし、一つ一つのコントロールに役割や状態を与える作業は手間のかかる作業ですし、管理のコストも増えてしまいます。
このため、Dojo Toolkitが行っているように、ある程度自動的にWAI-ARIAに対応させるような仕組みがより重要となります。対応への手間を減らすことにより、RIAのアクセシビリティも向上してゆくのです。