Smart Communication Design Company
ホーム > ナレッジ > Blog > Web標準Blog > 2008年2月 > XMLの10年

XMLの10年

2008年2月7日
フロントエンド・エンジニア 矢倉

2008年の2月10日で、XML 1.0はその勧告から10年を迎えることになります。

XMLは1996年に策定が開始され、2年弱という短い期間で勧告となりました。拡張性と汎用性を兼ね備えたその表現力と、タグで囲んで意味づけするというシンプルな書式は幅広く受け入れられ、今日最も使われる言語フォーマットの一つとなりました。また、XMLを別のXMLやテキストに変換するXSLT、XML文書中の一部分を取り出すXPathなど、関連する仕様も少しずつ広まっているようです。

一方、問題もあります。たとえば、このBlogでも利用しているXHTMLはXML言語の一つなので、XMLとして処理することが可能です。しかし、デザイナーや広告挿入のスクリプトが起こす構文ミスなどから、Webに公開されているXHTML文書のうちXMLとして解釈できるものは、ほとんど無いとの調査結果もでています(参考:「XHTML 2.0の目的と今後のXHTML」)。似たような問題は、この数年間で急速に普及したAtomやRSSにも起こっています。構文エラーに加え、XMLでは定義されていないHTMLの文字実体参照を行っているものが増えているのです。XHTMLやAtom、RSSを利用する際は、XMLとして処理できるかを事前に検証するようにしましょう。

バージョン1.0以降のXMLの動きですが、2006年にバージョン1.1が勧告されています。XML 1.1では名前に利用できる文字の制限を緩和したほか、正規化に関する新しい仕組みが設けられています。しかし、XML 1.1で追加される機能への需要あまり存在しないなどの理由から、1.1の普及や1.0からの移行は行われていません。また、数年前まではXMLの将来像として、DOCTYPEやDTDを廃止し、SGMLのレガシーな部分を取り除いた「XML 2.0」という構想も話されていたものの、その後の進展はないようです。

さて、昨日公開されたXML 1.0 第五版の修正勧告案では、1.1の機能の一部を1.0でも使用可能にするといった変更が加えられています。今後は1.0、1.1という棲み分けではなく、1.0を中心とした処理系に一本化してゆくものと予想されます。