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イギリス政府におけるアクセシビリティのコンサルテーション

2007年11月5日
フロントエンド・エンジニア 木達

2007年11月4日
Bruce Lawson著

(この記事はWeb Standards Project(WaSP)における投稿記事「UK government accessibility consultation」を翻訳したものです。当Blogは翻訳の正確性を保証いたしませんので、必要に応じ原文を参照ください。)

イギリス政府は、Webサイト全般の公開に関するコンサルテーション文書を公表しました。

コンサルテーションは11月13日(ちなみにこの日は私の誕生日なんですが……)まで続くため、最終的に確定した内容ではないものの、現状でもそれは悪いものではありません。PAS 78を基に、Webサイトがアクセシブルかどうか判断する唯一の方法はそれをテストすることであり、アクセシビリティの要求仕様として最低限WCAG 1.0のレベルAAを満たすよう述べています。つまり文法的にも意味的にも妥当なコードが義務となるわけです:

政府のあらゆるWebサイトが満たすべきアクセシビリティの最低限のレベルとは、W3CのガイドラインのダブルAです。公共のサービスやその提供に係わる内閣分科委員会からの承認を受けるすべての新規サイトは、公布の観点からこれらのガイドラインに従わなければなりません。

別途公開中のサイトは、このレベルのアクセシビリティを2008年12月までに達成しなければなりません。この要求レベルを満たさないWebサイトは、.gov.ukドメイン名の使用を取り下げるよう命じられます。

もしこれらの要求が規定されたら(そして保証はしませんがイギリス政府のWebサイトのなかにはお粗末な出来もありましたから)、制作側には大きな影響が生じることでしょう。たとえばコンテンツマネジメントシステムの作り手には、障害を持つスタッフでもそれを使えるよう、製品が文法的かつ意味的に妥当なコードを出力するようにし、かつオーサーリングツールアクセシビリティガイドライン(ATAG)に準拠させることが求められます。

アクセシブルなWebサイトを構築するため、オーサーリングツールはWebコンテンツのアクセシビリティ標準に準拠したコンテンツを提供しなければなりません。これは、組織がコンテンツマネジメントシステム(CMS)を使っている場合に特に重要な点です。この点は、オーサーリングツールやCMSの調達において考慮されるべきです。

さまざまな能力を有する人々がコンテンツを編集することができるためには、コンテンツのオーサーリングツールやCMSのインターフェースも同様にアクセシブルであることも重要です。それゆえ、Webサイトでアクセシビリティが考慮されるのと同じく、これらのシステムを選択し調達する際には、アクセシビリティ基準を明示しなければなりません。

正直に言えば、私はこれによって政府のWebサイトに大きな変化がもたらされるという考え方に懐疑的です。しかしこれは、イギリス政府内の物知りな人々が、嫌々ながらのWCAG 1.0レベルA準拠が「アクセシビリティ」であるとは呼び難いことを理解した証左だと思います。

またこれは、ベンダー組織内でもちょっとした議論を呼び起こすはずです。MicrosoftはSharepoint 2007を巡る議論で素晴らしくオープンな姿勢を見せましたが、2009年または2010年の次のリリースまで、それがWCAGレベルAまたはATAGに準拠することはないと認めています。

ATAGに準拠しているとか、大規模なカスタマイズを要することなく文法的に妥当なコードを出力していると、どれだけの数のCMSベンダーが本当に主張できるものでしょう?