基礎となりつつあるCSS3と、CSSの現在、これから
3月はブラウザのリリースが続いた一ヶ月でした。Internet Explorer 9, Firefox 4, Chrome 10が正式版となり、またOpera 11.10, Chrome 11がそれぞれベータ版として公開されました。
それぞれのCSSサポート状況を見ながら、CSS3の現在とこれからについて考えてみました。
スナップショットがベースラインに
IE9でがセレクタとColor, 名前空間、メディアクエリーを実装したので、デスクトップブラウザにおいてCSSスナップショットが満たされたことになります。IE9がWindows Phone 7に提供されると、スマートフォンにおいてもそれが完了します。CSS3は一部ではありますが、CSSの基礎となったのです。現在のPCサイトでは主にCSS 2.1段階のCSSが開発の基礎技術として認識されていたように思いますが、今後はスナップショットに移行していくのではないでしょうか。
また、これからはCSS3の一部もCSSの基礎として学ぶことになるのでしょう。先日CSS3のセレクタ仕様とスタイル属性の日本語訳を公開しましたので、他の日本語訳とあわせ参考にしていただけたらと思います。
他のモジュールも実装が進む
次期スナップショットに追加されるであろうモジュールにはBackgrounds & Bordersがありますが、勧告候補の段階にあり、かつ実装がある仕様は他にもあります。
Opera 11.10ベータでは、Multi-column layoutモジュールのサポートが行われました。こちらは2009年に勧告候補となっており、安定していると見られます。Operaでも今回、接頭辞なしの実装が行われています。GeckoやWebKitでは接頭辞付きの実装ですが、近々勧告候補が更新される予定ですし、勧告に向けた実装と検証が本格的にスタートするかもしれません。
草案レベルではありますが、実装が進められている機能もあります。
先月公開されたImage Valuesに追加されたばかりのグラデーション機能はGecko, WebKitが実装していますが、Opera 11.10ベータでも接頭辞つきで実装されています。Image Valuesモジュールには他にも面白い機能が追加されていますが、それらは実装も少なく仕様の安定性に関しても疑問がのこります。モジュール全体ではまだまだですが、グラデーション機能だけをとってみると、なかなかの速さで進んでいるように感じます。
また、草案のまま止まっている2D TransformsがIE9で実装されました。こちらはGecko, WebKit, Prestoで実装が行われていますから、停滞していた最終草案、勧告候補への動きが活発になるかもしれません。
CSS4へ
Firefox 4では:-moz-any()
というセレクタが固有拡張として追加されました。数日前にWebKitも:-webkit-any()
としてこのセレクタを実装しました。
昨年のエントリで:-moz-any()
を紹介したとき、「CSS4セレクタとして同様の機能が定義されるかもしれません」と書きましたが、昨日、CSS4セレクタのEditor's Draftが登場しました。この文書では現在、:matches()
という、:any()
と同等の機能が定義されています。Editor's Draftは非公式なものであるため、名称や機能の変更が草案以上に起こりやすいものですが、実装が複数生まれたこともあり、今後の標準化にむけたよいスタートが切り出せたのではないでしょうか。