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CSS WG F2F: CSS3の現在

2010年10月15日
フロントエンド・エンジニア 矢倉

8月末にオスロで行われたCSS WG F2Fでは、いくつかのCSS3モジュールや関連文書について進展がありました。

Snapshot 2010

CSSスナップショットはCSS WGが考える「仕様として安定したもの」をまとめる文書ですが、2007年時点の情報とかなり古いものになっていました。今回のF2Fでは、Media Queriesを追加した2010年時点のスナップショットへの更新が決まったようです。

Backgrounds & Bordersも安定していますが、テストケースがないことなどから次のスナップショットに持ち越される可能性が高いようです。

Backgrounds & Borders

新しい機能の多くがこの1, 2年で進み、唯一決定していなかったbox-shadowのぼかしに関する仕様もF2Fで確定したため、ふたたび勧告候補に進みます。早期の勧告も夢ではないかもしれません。

Media Queries

メディアクエリーは7月に勧告候補が公開され、仕様としてもほぼ完成している状態です。IE9にも実装されますから、すべてのブラウザーで利用出来るようになります。

F2Fでは、現在用意されているテストケースについての共有を行ったのち、Editorによりオブジェクトモデルを組み込むための改訂を行うことが示唆されました。

Color (#rrggbbaa)

CSS3 Colorモジュールは、実装レポートの確認を残すのみになっており、F2Fでも特に議題として挙げられていませんでした。しかし、昨日のteleconにて勧告案に進めることが決定されたようです。

さて、Colorモジュールにはrgba()という、不透明度つきの色を指定する関数記法が用意されています。しかし、一般には#rrggbbといった16進数値での指定が多いため、#rrggbbaa (#rgba)といった構文について要望が多く寄せられていました。

F2Fでは、CSS4 Colorに#rrggbbaaが追加されることが決定されました。しかしながら、編集者版の草案もまだないこと、検討されている次期活動憲章に含まれていないこともあり、すぐに策定が始まるわけではなさそうです。

UI

CSS3 UIは2004年の勧告候補を最後に策定が止まっていました。しかし、定義されるappearanceプロパティはいくつか実装がありますし、フォーム機能と連動する:required, :invalidなどのセレクタもHTML5フォームの実装によって進んでいます。

今年になり、EditorであるTantek ÇelikがCSS WGに復帰し、現在は新しい最終草案の更新に向けて作業中です。F2Fでは彼によって、再び勧告候補として早期に公開するため、実装されていない機能を省くことが示唆されました。overflow-x, overflow-yなど、実装されている機能を盛り込むことも検討しているようです。

F2Fでは他にも、セレクタ部分の分離や、セレクタ仕様から削除された::selectionについての共有が行われたようです。

Values & Units

Values & Unitsは、値の型と、値で使われる単位を定義する仕様です。また、複数の単位を混在して計算するcalc()も定義されています。calc()はFirefox 4とIE9で実装中です。ただ、IE9のベータ版では接頭辞なしのcalc()が、Firefox 4のベータ版では-moz-calc()と違いがあることから、仕様が固まっていない機能をat-riskと記した上で、最終草案の公開を考えているようです。

次回のF2F

オスロのF2Fでは他にも、FlexboxやMulti-column layout, Template layoutといったレイアウトに関するモジュールの共有、Fontsモジュールで定義されるOpenTypeの機能、縦書きに関する議論が行われていたようです。

次回のF2Fは来月初旬のTPACとなります。CSS 2.1の議論はあらかた終了していますから、次回以降はCSS3についての議論が主だった内容になるでしょう。