CSS WG F2F: 来期の活動、viewportの標準化
先月のCSS WGのF2Fでは、CSS3やそれ以降の話についても議論が進んでいます。今回は来期のCSS WGの活動についてと、スマートフォン向けサイトで利用されている"viewport"の標準化について紹介したいと思います。
CSS3時代のCSS WG
現在のCSS WGは2010年11月末で活動期限を迎えます。過去2回「次期のCSS WG」について取り上げていますが、今回のF2Fでも、次期の活動計画に関してディスカッションが行われています。
CSS 2.1が勧告案に進めば、CSSスナップショットで定義される仕様がほぼ一斉に勧告に進むことができるため、それ以外のCSS3モジュールや、CSS4の策定が次期CSS WGの活動になります。
現時点で、High Priorityとされている仕様は次のとおりです。
- CSS Snapshots
- Backgrounds & Borders
- UI
- Fonts
- Image Values
- Multi-column-layout
- 2D Transforms
- Transitions
- Values & Units
- Media Queries
CSS SnapshotsはCSS Snapshot 2007にMedia Queriesが追加されたものになります。現時点ではCSS Snapshot 2010と呼ばれています。
Backgrounds & Bordersはbox-shadow
の仕様が確定したため、ふたたび勧告候補に進みます。実装も進んでいますし、早期の勧告も夢ではないかもしれません。
UIはappearance
プロパティなどを定義するモジュールです。草案のEditorであったTantek ÇelikがCSS WGに復帰し、精力的に動いています。
Fontsは基本的な仕組みについては実装も複数出ていますが、Unicodeの機能などが追加されているので、実装の進みで仕様がどれだけ進むかが変わってくるでしょう。
Image Valuesはグラデーションなどが定義されるモジュールです。グラデーションはWebKitとGeckoに実装がありますが、ベンダー固有の拡張で構文が異なるため、早期の標準化が望まれます。
Media Queries仕様としてはもう安定しているので、実装状況の確認が主なタスクとなるでしょう。
High Priorityとされたモジュールは実装が進んでいるものが多いですね。実装と仕様が密に連携し、完成度を高めるやり方は今後も続いていきそうです。
Device Adaptation ― 「viewportメタタグ」の標準化
スマートフォン向けWebサイトの作成で<meta name=viewport ...>
という指定が使われているのを目にした方は多いのではないでしょうか。「viewportメタタグ」などと呼ばれていると思います。
もともとAppleがiPhone Safariに組み込んだものですが、広く使われ始めたことや同様の仕組みが求められたこともあり、他のモバイルブラウザーも実装している機能です。
ところが、固有拡張ということもあり、Appleのドキュメンテーションに少し書いてあるだけで、仕様書といった詳細について記載された文書がありません。また、他のベンダーの実装についてもiOS Safariの挙動をリバースエンジニアリングして実装しているため、細かなところで相互運用性に欠ける問題も起きています。また、meta
で挙動を指定することに関する是非や問題もあります。
コンテンツや実装が広まりながら標準化が行われていませんでしたが、先日OperaのRune LillesveenによってCSS Viewportという仕様が提案されました。
CSSに@viewport
というブロックを定義し、現在meta
で行っている指定を可能とするものになります。F2Fではこの提案について簡単なディスカッションが行われ、CSS Device Adaptationとして取り込まれることになったようです。