WaSP Microsoftタスクフォースより:来るべき製品、XAML、Acid2、SXSW、およびIE7が明らかに
2005年11月2日
Molly E. Holzschlag著
(この記事はWeb Standards Project(WaSP)における投稿記事「WaSP Microsoft Task Force Update: Upcoming Products, XAML, Acid2, SXSW, and IE7 Revealed」を翻訳したものです。当Blogは翻訳の正確性を保証いたしませんので、必要に応じ原文を参照ください。)
火曜日、WaSP Microsoftタスクフォースは、参加できるメンバーと直接ミーティングを開きました。場所は、雨の滴るシアトルの海岸沿いにあるスターバックスでした。この場所の設定は、多少予測できたかもしれませんが、ミーティングそのものは素晴らしく、時に非常に励まされる内容でした。
ミーティングには、WaSPからDL Byronと私が参加しました。Microsoftからは、愛嬌のよいBrian Goldfarb、Sam Spencer、Rob MauceriらWebプラットフォーム・プログラム・マネージャー、および1995年以来IEに携わってきた、IEプラットフォームおよびセキュリティ担当のグループ・プログラム・マネージャーにして伝説的なChris Wilsonが参加しました。
私たちは、新しいソフトウェアにおけるWeb標準サポート、XAMLの役割とMicrosoftの議題、Acid2テスト、SXSW、そして最後に最も重要なIEの進捗状況など、いくつかのトピックスについて議論しました。
来るべきMicrosoft製品のWeb標準サポート
Microsoftにおいて準備ができている新しいツールは3つあり、各ツールはデザイナーおよびそのワークフローを念頭に開発されています。WaSPにとって最も興味のある製品は、コードネーム「Quartz」です。このソフトウェアはXHTML 1.0 Transitionalに対応、他の関連するDTDもサポートしている製品であり、Byronと私は、このソフトウェアのデモをRob Mauceriに見せてもらいました。レイアウト用のテーブルはなく、すべてCSSです。これは素晴らしいニュースであり、心からの喝采に値します。
マークアップとCSSをより詳しく調べてわかったことですが、このツールは他の制作環境で目にしてきた共通の問題を生じないわけではありません。生成されたXHTMLとCSSは本来そうあるべきほどに直感的かつ便利ではないですし、多くのspan要素、とんでもない量のclass属性、物理的なネーミングの傾向があります。幸い、スキルのあるCSSデザイナは、このツールにより障害を受けることはなく、類似の競合ツールと同様にスリムで意味的なマークアップとスタイルを作り出すことができます。完璧とは到底言えませんが、XHTMLおよびCSSのサポートと共にワークフローの改善に興味のあるMicrosoftの開発者にとっては間違いなくポテンシャルを備えたソフトウェアです。
XAMLとMicrosoftの視点
WaSP Microsoftタスクフォースについて話す時に、最もよく尋ねられる質問の1つが「XAMLについてはどう思いますか!」というものです。XAML(Extensible Application Markup Language)とは、Microsoft固有の言語であり、多くの人々は、MicrosoftがWeb全体の支配力を強化するためにそれを利用するのではないかと恐れています。
XAMLは、Microsoftのほとんどのツール開発の中核にあり、つまりMicrosoftの製品を使うならばMicrosoftに従えということ意味します。しかし、これはMicrosoftにとってのパラダイム・シフトと言うこともできます。Microsoftは、XAMLベースのアプリケーションと共に、クロスブラウザ、そしてクロスプラットフォームのソリューションにすぐに利用できるXAML のサブセットを同時に組み込もうとしています。WPFE(Windows Presentation Foundation Everywhere)を使用することにより、XAMLサブセット内で開発することができます。Sam Spencerは、XAMLおよびそのサブセットを、広い意味で「2つの異なるモノ」 と表現しています。
Chris Wilsonは、もう少し深く掘り下げています。彼は、XAMLは「リッチなクライアント体験」であり、Web自体はリッチな体験であると言っています。もっと簡単に言うと、XAMLは、Windowsを使用したりWindows向けに開発している時にリッチな体験を提供してくれます。つまり、「Windowsアプリケーションを構築するために必要なすべてのもの」が手に入るのです。WilsonによればXAMLは、HTMLに取って換わることを意図したものではありません。これはWeb言語ではありますが、プラットフォームに関するものです。開発者は状況を見て、XAMLアプリケーションが適切か、あるいはJavaScriptに依存したWPFEサブセットの方が適切かを判断します。彼は、「WPFEがリッチな体験から幅広い体験への移行パスを提供する」と述べています。
プラットフォーム依存のWeb言語というものは、概念的にWebの精神とビジョンに反するため、私はこのアプローチが気に入っているとは言えません。少なくともMicrosoftは、相互運用の精神に沿った代替手段を戦略的に提供するでしょうが、この懸念が実際にどうなるかは時間が経過しないと分からないでしょう。
Acid2についての情報が欲しいですか?
SafariがAcid2テストにパスするために最初の公開バージョンをリリースした翌日にMicrosoftと話ができたことは非常に愉快でした。Opera 9が後に間近に迫り、KHTMLブラウザ(例:Konqueror)は更新されたコードベースを誇示し、iCabブラウザがプレリリースされたベータ版でテストにパスする中で、Acid2準拠とMicrosoftの問題は、多くの人の間で既に論じられています。
WaSPは少し前から、Acid2をパスすることが現時点でIEの開発における目標ではないことを知っていましたが、少なくともWilsonは、Acid2の役割に関して常にそつのない立場を維持しています。実際、おそらくFirefoxチームよりもそつがありません。Firefoxチームは、Web標準に興味がありそれをサポートしているにも関わらず、Acid2は登場のタイミングが悪かった、自らの開発プロセスとは関係ないと述べています。
おそらくFirefoxは、この点においてMicrosoftから社交に関し学ぶべきものがあります。Wilsonは、Acid2の解説が 「Web開発者の組み込みたい多様な機能をテストしている」と述べました。さらに彼はこの目標をサポートしていると述べ、Acid2を非常によく記述されており、開発者が正確に何をテストすべきかを完全に含んでいると賞賛していました。彼は、IEが将来いずれかの時点でAcid2テストにパスするものの、IE7にそれを期待しないように、と釘を刺してコメントを終えました。
SXSW
私たちは、まだこの情報を公に発表していませんが、詳細はまもなく発表されるでしょう。WaSPは、2006年3月のSXSW Interactive Media Festivalにおいて、2つの重要なセッションを開催する予定です。第一に、パネル討論会を開く予定です。
ええっ?別のパネルですって?そうです!今回は、WaSPタスクフォース・パネルであり、WaSPおよびそのタスクフォースのリーダーらが、過去数ヶ月の活動に関して議論します。予定されているパネルのメンバーは、進行役としての私、WaSP戦略に関してはDrew McLellan、WaSPとMicrosoftの関係に関してはChris Wilson(Microsoft)、Dreamweaverおよび関連製品のWeb標準サポートに関してはJennifer Taylor(Macromedia Dreamweaverのプロダクトマネージャー)、スクリプティングについてはDOMスクリプティング・タスクフォースの共同リーダーでありWaSPの古株メンバーのDori Smith、そしてWebアクセシビリティに関しては、アクセシビリティ・タスクフォース・リーダーであるMatt Mayが参加します。
面白そうなパネルでないと思ったならば、WaSPメンバーらの実際の活動を見に来てください。私たちのWaSP年次ミーティングは、SXSWクルーの賛同を得て、ライブかつ公開で催されます。このミーティングには、SXSWに参加するWaSPの全メンバー、およびMicrosoftとMacromediaからの貴重な参加者を含むすべてのタスクフォースの参加者が参加します。最初の1時間は、順番のルールにしたがい私たちのミーティングが開かれますが、SXSWのメンバーであれば誰でも参加することができます(また、ミーティングの模様のビデオキャストも計画しています)。2時間目は、イベントに先駆けて興味のある個人から寄せられた質問で構成され(専用のeメールアドレスを用意します。詳しくはこのセクションに掲載しますので、注意していてください)、最後は皆さんからの質疑応答を設けます。
Austin市に来られるか否かに関わらず、皆さんの参加を楽しみにしています。プランや参加者、および場所が最終的に決ましたら、詳細を掲載します。
IEの進捗状況
ここにアクセスする多くの人は、IEBlogも読んでいます(現在のWeb開発者およびデザイナーにとっては良い学びの場です)。既存のほとんどの重要なバグ修正、およびfixed値によるポジショニング、子供セレクタ、属性セレクタなどの待ちに待たれたCSS機能の実装についても期待してください。アルファチャネル付き透過PNG?それもあります!XML宣言は、DOCTYPEスイッチを妨げることなく利用することができ、object要素の取り扱いは適切な代替システムで改善される予定です。
ただし、何か足りないものはあるでしょう。Wilsonは、コンテンツ生成について「用意できないだろう」と言っています。overflowに関する問題も、おそらく解決されないでしょう。また、画像のためのobject要素に関する問題がIE7で修正される見込みはほとんどありません。
しかし、Wilsonは相変わらず楽観的かつ哲学的であり、「IE7には課題が多く、人々が望むほどは達成できないと分かっていたよ」と言って会話を締めくくりました。
Wilsonの視点は決して不合理でないというのが、私の意見です。IEにおける問題の修正に関して、満足を短期的に期待するのは現実的ではありません。Wilsonは、「我々が今日、最悪の無礼者であるかもしれないということは理解ししている。しかし私は、我々がそうではなかったときのことを覚えている。」と言って話を締めくくりました。
最後に、彼は自分のチームとIEの将来の見通しについて、次のように述べています。
「このチームは、素晴らしい仕事を行ってきましたが、道のりはまだ遠いです」
素晴らしいコーヒー
ミーティングは成果を収めました。私は、Microsoftの私たちに対する対応について常に感銘を受けています。これで、橋渡しはできています。私たちは、Microsoftのビジネス戦略の方向性に関わらず、Microsoftの開発者にとって励みとなり支えとなる存在であり続けると信じています。
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