ブラウザの悩みがあるの?よく考えて
2005年9月24日
Molly E. Holzschlag著
(この記事はWeb Standards Project(WaSP)における投稿記事「Got Browser Woes? Think Again.」を翻訳したものです。当Blogは翻訳の正確性を保証いたしませんので、必要に応じ原文を参照ください。)
デスクトップ向けブラウザの互換性に関する問題で髪の毛が抜けたことのある人は、残された白髪をIE 6.0、Safari、Operaのバグや実装のせいにし、古いブラウザをサポートする標準ベースのサイトを作ろうとする一方で、疲れきった骨からカルシウムが流れ出るのを感じていることでしょう。そして、この先はもう読みたくないと思うかもしれません。
デスクトップからワイヤレスへと守備範囲が拡大するにつれ、ブラウザのサポートは、容易になりそうにもありません。実際、ワイヤレス向けのコンテンツ開発を経験した人は誰でも、デバイス間で互換性を保つことがデスクトップ向けよりもはるかに困難であると認識しています。
私たちは、これまでデスクトップ向けブラウザにおける戦いを繰り広げ、勝利を収めているようにみえましたが、これは、ワイヤレス機器やそのユーザ・エージェント環境に携わる人々にWeb標準を配慮させるのに、全く役に立ちませんでした。さらに、ワイヤレス機器には何千もの種類があり、その多くは独自拡張を実装したユーザ・エージェントなのです。まだ抜け毛や白髪に悩んだり、骨を失ったりしていない人でも、今度こそ逃れられません。
ここで少しご紹介しましょう。主なエージェントが提供するXHTMLサポートとはどんなものかを簡単に説明します。
デバイスまたはブラウザ | XHTMLサポート |
---|---|
Openwave | XHTML MP(XHTML Mobile Profile)およびWML Extensions |
Nokia | XHTML MP |
Access Systems | XHTML Basic |
AU Systems | XHTML Basic |
「オーケー」、皆さんは、こう考えているでしょう。「そんなに悪くないじゃないか!XHTML MPか、または XHTML Basicのどちらかだろう? 」と。
そうではありません。XHTML MPもXHTML Basicも仕様は簡単ですが、各デバイスとブラウザ間の実装に一貫性がないので、標準化にはかつて描かれた理想像を諦めてもらうしかありません。
まだ平気ですって?なお読み続けたいのであれば、仕方ありません。モバイル機器とブラウザの非互換性について、少し(ほんの少しですよ)説明しましょう。
- title要素の問題。ブラウザによって、テキストとしてレンダリングしたり、既存のエージェント・クローム内で正しく使用したり、ブックマークに使用するものもあります。どれがどれですって? それは、自分で試さなければなりません。同じメーカーの機器でさえ、レンダリング機能は異なるからです。
- デバイスメーカーは、私たちを混乱させたいようです。例えば、Samsungは、AU Systemブラウザを使用していますが、 なんと独自のレンダリング・エンジンを実装しています。これは、Netscape 8.0のTrident/Geckoデュアルレンダリング・エンジンと同じくらいおかしなものです。
- プロバイダのゲートウェイも、私たちの味方ではありません。XHTML 1.0および同1.1において、MIMEタイプとコンテンツ・ネゴシエーションに悩まされているなら、次の可能性を考慮してみてください。プロバイダのゲートウェイは、ドキュメントのレンダリングに完全な影響を及ぼし得ます。なかには高度な機能を搭載しているものもあり、例えば文法的に妥当で標準に準拠したXHTML文書だけを通すのです。またそうしないものもあり、どんなグラフィックも変換したり、そのすべてを欠落させるものもあります。
これは、ほんのさわりだと言いましたよね? 制約が厳しかったり、また多くのモバイル環境で全く機能しないといった、モバイル環境におけるCSS サポートについてはまだ説明していません。そういった現状が事実ならば、スクリーンデバイス環境において、私たちが教えてきたベストプラクティスの数々はどうなりますか?窓から放り投げるしかありません!なぜって?CSSに対応した既存のモバイルブラウザは、CSSをキャッシュしないのだから!結果として、使用するCSSはすべて埋め込むか、インラインにしなければなりません。
また日をあらためて、モバイル機器におけるCSSについて触れたいと思います。とりあえず私はこれから、髪を染めに行かなくちゃ。
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