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新しいHTML5の草案が公開

2009年8月27日
フロントエンド・エンジニア 矢倉

HTML WGより、新しいHTML5の草案が、変更点をまとめた文書と共に公開されました。

いつものとおり、変更点の翻訳も更新しましたので、そちらを参考にしていただければ幸いです。

マイクロデータとWAI-ARIA

変更点のうち、特に注目しているのが「マイクロデータ (Microdata)」の追加と、WAI-ARIAの組み込みが始まったことです。

マイクロデータは、情報を機械可読が可能なかたちで要素内に埋め込むための仕組みです。こういった関連はセマンティックWeb的な側面での注目がありましたが、HTML5ではドラッグ&ドロップ機能と組み合わせることで、構造化されたデータのコピー&ペーストも可能になるなど、実利的な機能も定義されています。

ただし、対象や構文がRDFaに似ていることから、RDFaの統合も視野に入れた議論が行われています。

WAI-ARIAの統合は、草案が公開された数日前に始まったばかりです。HTML5で新しく追加された要素やフォームのコントロールと、ARIAで定義されているroleやステートとの競合を解消するための働きが今後行われていきます。

各機能の現状を知る

HTML5仕様には非常に多くの機能が定義されていますが、それらが皆おなじ段階にあるわけではありません。しかし、これまではどの機能がどのような段階にあるのかが分からないという問題がありました。

今回の草案より、各機能のステータスが仕様書に盛り込まれました。たとえば、先日ちょっとしたニュースになりましたが、ベンダーの合意が得られずコーデックに関する要件が削除されたvideo要素の項を見てみましょう。次のような記述があるかと思います。

Status: Last call for comments. ISSUE-7 (video-codecs), ISSUE-9 (video-synchronization) and ISSUE-10 (video-smil) block progress to Last Call

現在の状態(“Last call for comments.”)と、関連する問題(”ISSUE-7, ISSUE-9 and ...”)が書かれています。videoに関しては、仕様が固まる直前という認識で居るようです。他にも「草案段階」「実装され、広く利用されている」といったものもあります。

Co-Chairも交代、今後は三人体制で

さて、草案公開と同時に、WGのco-Chair(議長)が交代するアナウンスも行われました。

これまではIBMのSam Rubyと、MicrosoftのChris Wilsonによる二人体制でしたが、Wilsonが他方面の分野に集中することもあり、彼に代わってMicrosoftのPaul CottonとAppleのMaciej Stachowiakが新しいco-Chairになりました。

標準化作業に多く関わってきたRubyとCottonに、実装者として貢献してきたStachowiakという三人体制で、最終草案に向けた動きを進めることになります。