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2009年5月15日

HTML5のeditor, Ian Hicksonへのインタビューが公開

フロントエンド・エンジニア 矢倉

Web Standards ProjectにてHTML5のeditorである、Ian Hickson (Hixie) へのインタビューが掲載されています。

全訳についてはそのうち公開されると思うので、今回は面白かった内容について紹介したいと思います。

WHATWGとHTML5の歴史

WHATWGとHTML5の歴史は、2003年頃までさかのぼります。XForms 1.0が勧告案に進む際に、ブラウザーベンダーが「HTMLで利用できなければ高機能でも広まらない」と懸念を表明し、XForms Basicというモジュールを提案しました。

XForms BasicはXFormsが持つ機能の一部を、HTMLのフォームを拡張するかたちで取り込んだもので、HTMLの構文と互換性を持つように設計されています。この提案はその後Web Forms 2.0と呼ばれ、さらにHTML5に取り込まれて現在に至ります。

さて、その後2004年に行われた「Webアプリケーションと複合文書」というW3Cのワークショップで、ブラウザーベンダーは「後方互換性を持ち、HTMLを段階的に拡張することが重要」と訴えましたが、HTMLの拡張は却下されてしまいました。このことから、OperaとMozillaはWHATWGを組織し、HTMLの拡張に乗り出したのです。

Editorから見るHTML5の策定

WHATWG設立当時、HixieはOperaに在籍していました。彼がeditorとして選ばれたのは、「ちょうどよい位置にちょうどよいタイミングでいて、また他の人が忙しかったから」とのことです。

彼の仕事は、メーリングリストに送られてくるフィードバックや提案を管理し、仕様書に反映させて返答するというスタイルで行われています。フィードバックが仕様に反映されるまでに時間がかかるという問題はあるものの、時間をかけてフィードバックを集めることで、個々のフィードバックが生かされることもあるとも述べています。また難しいこととして、要望を受け入れるか受け入れないかをどう決断するのかを挙げています。

また、新しい機能の設計については、XFormsのような過ちを繰り返さないよう、利用されやすいようにデザインすることが重要とも述べています。

DOMと構文の定義

HTML5は構文ではなく、DOMを中心に機能が定義されています。これまでのHTMLやXHTMLの仕様書にはDOMインターフェースの定義などはなかったため、「読みにくい」「それぞれの仕様として分割しないのか?」などという意見が寄せられています。

これに対してHixieは、「分割することで生じるギャップが問題だ」と述べています。例として、input要素のtype属性値をDOMで書き換えたときにとるべき挙動という、HTML4とDOM2では定義されていなかったことを挙げ、一つの場所で定義することの意味を唱えています。

HTML5はもう「使える」のか?

Appleなどが自社のサイトにHTML5の要素を利用したことや、canvasなどの広まりもあり、巷ではすこしずつですがHTML5を利用しようという流れになっているようです。

しかしながらHixie自身は Today is probably too early to start using HTML 5. と語っています。新しいセクション関連の要素など、ブラウザーで実装されていない要素やインターフェースについては今後のフィードバックによりいくらでも変化しますし、実装があったとしても充分に互換性が取れているかは、機能ごとによって変わることが「まだ早い」としている理由なのでしょう。

HTML6は?

HTML5も終了していないのにHTML6の話がでるのは不思議に思うかもしれませんが、「HTML5が完了するまでにHTML6がスタートすることはあるだろう」と述べています。

テストスイートの完成や、実装のフィードバックを受けて修正する作業は何年も何年もかかるため、2010年にHTML5が勧告になることはありません。とはいえ、HTML5の機能をベースに、それらを拡張していくかたちでHTML6を策定することは不可能ではないでしょう。

現に私達は、すでに広く使われながらも勧告されていないCSS 2.1や、その上に定義されるCSS3のモジュールを目にしています。HTML5も設計指針などから、CSSのような拡張モデルを考えているのでしょう。

バージョンレスな「HTML」を

さて、HixieがHTML6のeditorになるのか、という質問には「その質問は早すぎるよ!」としながらも、彼の考える今後のHTMLについて語っています。

それによると、HTML5以降はバージョンをつけるのではなく、少しずつ機能を加えていきながら更新する「HTML Current」というスタイルが良いのではないかと考えているようです。標準化ではマイルストーン的に「バージョン」を重ねていくことが通例ですし、段階的な拡張をさらに推し進めるという標準化を考えているというのは興味深いように思いました。