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Web標準Blog

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2007年11月19日

HTML 5にみる現在のWebと今後のWeb

フロントエンド・エンジニア 矢倉

今回はHTMLワーキンググループの会合にて考えたことを紹介しようと思います。

HTMLワーキンググループが策定するHTML 5は、これまでのHTMLと異なり、その実装や実装間の相互運用性、また現在のWebとの互換性を強く意識した仕様となっています。これはブラウザをはじめとするユーザーエージェントが、それぞれ異なるパース処理や構文処理を実装した結果、特定の実装に依存したWebコンテンツが非常に多くなってしまったことの反省によるもののようです。HTML 5ではエラー処理やパース規則を定義することで、この解決を図ろうとしています。

また、その上でWebアプリケーションやWebサイトを構築する際に利用できる要素や属性、またDOM APIの拡張も行われています。Webというプラットフォームを構成するという観点から、足りないものを補う、定義が曖昧なものは意味を定義しなおすなど、現在のHTMLの使われ方に合わせたものとなっています。

実装を意識するとはいえど、ワーキンググループにおいて活発な意見交換を行なっているのはブラウザベンダが非常に多い状態です。しかしこれは、ベンダー中立という観点からあまり好ましいものではないでしょう。このためグループは引き続き、支援技術やオーサリングツールを開発するベンダにも参加を求めていくとのことでした。

会合でいくつかの話を聞いている中で思ったのは、相互運用性においても互換性においてもInternet Explorerがやはり大きな存在だということ。IEの独自拡張のいくつかはHTML 5に盛り込まれ、他のブラウザもそれをサポートしはじめていますが、canvasの様に他のベンダが実装したものがIEにどのタイミングで実装されるのか、その見通しはたっていません。IEに引きずられるまではいきませんが、IEの対応がHTML 5の策定において、ある種の懸念事項であるように感じました。

さて、会合では「HTML5 for Authors」という、デザイナーやアプリケーション開発者に対し、どのようにHTML 5を周知していくかというセッションが開かれました。

HTML 5の仕様書は、実装者が参考にする技術仕様という側面が特に強いものとなっています。しかし、その中には内容モデルや要素・属性の定義、妥当性要件など、私たちデザイナーや開発者が参照すべきである情報も盛り込まれています。

セッションでは、「作成者のためのHTML仕様」という大きなトピックについてディスカッションを行ないました。「Wikiを利用しベストプラクティスを集めてはどうか」といった具体的なアイデアから、「そもそも仕様書を読まないデザイナーが多いなかで、どのように周知や教育を行なっていくのか」といった新たな問題提起など、さまざまな意見交換がなされ、とても実りのある内容であったと感じています。具体的に何を行なうのか、どのようなスケジュールで進めていくのかはHTML 5仕様がまだ草案となっていないこともあり、決定はしていません。動きがあり次第、またお伝えしようと思います。

「現在のWebにある問題を解決し、これからのWebに対して有用な機能を定義する。」という大きなHTML 5の目標。時間がかかるのは確かですが、今後のWebに向けてその策定、実装、普及も始まっています。