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Web標準Blog

Web標準Blogでは、Web標準の利用に興味のあるWebサイト管理者、Webデザイナーの方向けに、Web標準を利用するための手法やノウハウ、参考になるリソース等を、国内外を問わずご紹介します。

2007年8月24日

iPhone版「善玉、悪玉、卑劣漢(The good, the bad, and the ugly)」

フロントエンド・エンジニア 木達

2007年8月22日
Aaron Gustafson著

(この記事はWeb Standards Project(WaSP)における投稿記事「The good, the bad, and the ugly - iPhone edition」を翻訳したものです。当Blogは翻訳の正確性を保証いたしませんので、必要に応じ原文を参照ください。なお、「The good, the bad, and the ugly」というのは有名な西部劇の映画のタイトルで、日本では「続・夕陽のガンマン」として公開されました。)

iPhoneはWebに多大なる影響を与えています。それを賞賛する人ばかりでなく、悪口を言う人もまた、情熱的なメッセージを寄せています。iPhoneはWeb標準にとってどのような存在でしょうか?モバイルWebに対してはどうでしょう?そして私たちは(いかにして)iPhoneのためのデザインをすべきでしょうか?

iPhoneは約2ヶ月前に発売されて以来、モバイル市場のみならずWebにおいても、少なからず秩序を乱す存在であることが明らかになりました。新たな市場での足がかりを求めて群がるWebデザイナーや開発者らによって問題点が明るみとなり、(多くのケースでは)ちょっとした口論に発展しています。

数日前、Scott Gilbertsonは「iPhoneはInternet Explorer 4の二の舞だ」と述べました。ただiPhoneのためだけに開発され、他と切り離された数多くのWebサイトやアプリケーションを(ちょうどそれをIE4が登場した時期と重ね合わせて)彼は暗示しています。これにJoe Hewittは素早く反応、iPhoneはWebに必要とされる革新をもたらすと述べ、IE4に喩えられるのはそう悪いことではない、と語りました。

私たちは一体どういう状況に置かれているのでしょう?私には確信こそありませんが、いくつか思うところを取りまとめたかったし、皆さんがどう考えているかを知りたいと思いました。

善玉

iPhoneに搭載されたバージョンのSafariは、疑いなく私が今までみてきたなかで最高のモバイルブラウザです。通常のWebページを美しく表示しますし、パンやズームといった機能は他のモバイルブラウザの再流し込みや縮小表示に取って代わる、心地良いものです。

悪玉

二つの単語で「standards support(標準サポート)」という言葉があります。ことCSSレンダリングについてはモバイルSafariは素晴らしいのですが、いくつかの問題を抱えています。

  1. handheldメディア用スタイルシートを適用しません。それが利用できない場合にscreenメディア向けのスタイルシートを適用するのであれば話はわかりますが、handheld用スタイルシートが利用できるのなら、screen用スタイルシートを無効化したうえそちらを読み込むのが良いでしょう。
  2. イベントハンドリングにまつわる問題。iPhoneは新たなインタラクションをもたらしましたが、(説明書やユーザーテストによれば)私たちには(ズームやパンといった)アクションを知る手段がありません。さらにJoeが指摘しているように、mouseovermousemoveなどのイベントがサポートされていません。そうです、伝統的なイベントのいくつかはiPhoneのインタフェース上では用を成さないのです。バーチャルキーボードはonkeyで名前の始まるイベントに対応しておらず、ユーザーがスクロールしているかどうかを知る方法はありません。
  3. iUIiUIを「悪玉」に含めることはこの好ましくないようにも思えますが、ページが機能するためには特定のマークアップが必要になります。インタフェースこそ素晴らしいものの、それは凄まじく酷いコーディングを強制されるのです。私はこの点がより注目を集め、いずれ「善玉」に分類されるようになることを期待しています。

卑劣漢

さて、私にとって卑劣漢はというと、唯一、iPhone専用のアプリケーションまたはサイトということになります。

発売されてからというもの、デザイナーや開発者たちは彼らのサイトやアプリケーションのiPhone専用インタフェースを構築してきました。残念ながら、その多くでは他のモバイルWebに対して何ら配慮しない方法がとられています。モバイル分野については、個人的にはよくわかっていませんでした。それが「いちど制作したものはどこにでも配信できる」というWeb標準の理想と対峙しているように感じましたが、私は(多くの地域でモバイルでの通信費用が高くつくことから)携帯機器上ではインタフェースを削ぎ落とすことの必要性を理解しています。しかし今や、モバイル分野はiPhoneユーザーとそれ以外という分裂に直面しているのです。私はこれをWebにとって、とりわけモバイルWebにとって好ましくないと感じます。

はっきり言って、私はWeb標準が創造性を阻害するといった反論を受け入れません。実際私は、それと正反対のことを信じており、Web標準が創造性を可能にするのだと思います。Webにおける革新の多くは、(まだ標準ではないと言われるかもしれませんがXHRを含め)Web標準によってもたらされていると、私は確信しています。強固な基盤があってこそ、私たちの制作物は崇高の高みにまで到達できるでしょう。

私たちは何をすべきか?

iPhone向けにデザインしたり構築したほうが、他のモバイルブラウザ(素晴らしいOpera Miniを含め)よりもずっと楽しいとは言えるでしょうが、だからといってWebサイトの入り口に「BlackBerryお断り」なんて注意書きを掲げて良いことにはなりません。

誤解しないで欲しいでのすが、私はiPhoneをサポートする(または「満足させる」)べきでないと言ってはいません。私が言いたいのは、iPhoneをサポートしておきながら他のモバイル機器を冷遇するようなことはすべきではない、ということです。もし自作のアプリケーションにモバイル用インタフェースを作りたいと思ったら、Twitterや他のサービスのように作ってください。

POSH(訳注:posh-ja - Microformatsを参照のこと)でインタフェースを書くことは極めて簡単ですし、モバイル機器ではCSSサポートが不十分ではあるものの、モバイルWebを利用する大勢の人々が利用することはできます。そこからスタートしましょう。それからインタラクションの新しいレイヤーを加えるべく段階的に拡張してください。それは理にかなっているだけでなく、「正しいこと」なのですから。