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見当違いの怒り:ZeldmanのW3C批判に対する反論

2006年8月1日
フロントエンド・エンジニア 木達

2006年7月26日
Molly E. Holzschlag著

(この記事はWeb Standards Project(WaSP)における投稿記事「Misplaced Anger: A Rebuttal to Zeldman’s Criticism of the W3C」を翻訳したものです。当Blogは翻訳の正確性を保証いたしませんので、必要に応じ原文を参照ください。)

W3Cの内部紛争に関しては、コミュニティ内でも議論されています。これは、WCAG 2.0の活動を追い続けている人であれば、初めて耳にすることではないでしょう。しかし、今回の批判は、強力な発言者であるJeffrey Zeldmanから発せられています。

Jeffrey Zeldmanは、自らの記事「An Angry Fix(怒りのフィックス)」の中で、次のように述べています。

なんと、この組織は、われわれのニーズに無頓着であり、われわれの経験や眼識を活かすつもりがないようです。時代遅れのケーブルテレビの広告のように、いまだ閉鎖的で一方的なシステムです。これは、Webではありません。

ほとんどの人にとって、W3Cがこのように見えるのは明らかだと思います(以前には、私にとって常にそう見えていました)。しかし、W3Cに所属してきた者として、私は、なぜW3Cがこのような姿であるか、しっかり明確に理解しています。

私は、W3Cの動きの遅いプロセスや超官僚主義的な執行部を弁護しようとしているのでしょうか?また、性別(できるものなら、どうぞ女性の数を数えてみてください)あるいは民族の多様性に対する配慮や思いやりが欠けていること、日常的なWebにおける真のニーズが驚くほど無視されていることを弁護しようとしているのでしょうか?いいえ、違います。そのようなことは、私だってやりたくありません。

私が弁護しようとしているのは、W3CがZeldmanやその他の人が示唆するように閉鎖的ではなく新しいものに対して実際にオープンになりつつあるという自分の経験から学んだ事実です。CSSワーキング・グループは、経験豊富なアーティスト兼グラフィックデザイナーを少なくとも1人はチームに招かねばならないことにやっと気付きました。それほど長い時間がかかったのでしょうか?そうです、しかし、実際にそれが現実となっています。それは良いことです。(訳注:CSSワーキンググループに、最近Andy Clarke氏がInvited Expertとして参加することになったことを指しています。)

仲たがいはあるかもしれませんが、全体としてはWebに対する根本的な熱意と関心があるし、その証拠もあります。W3C内のみならず、外部からの貢献者による大変な努力が高く評価されなければ、2月のW3C Tech Plenary Dayにおいてmicroformatsに関するものが最良のパネルに選ばれることはなかったでしょう。

また私は、W3Cが多少内気であるとも考えています。誰でも、名乗り出さえすれば、参加することができます。 参加し、リストに名前を載せてください。ミーティングに参加するためにワーキング・グループのチェアーにメールを出してください。少なくとも私がこれまでに参加したグループにおいて、皆さんの興味が失われることがあれば、私はショックを受けるでしょう。この組織は、積極的に活動を広げようとしていないだけであり、それは常にこの組織の基本的な欠陥となっています。

W3Cに対するJeffreyの最近の評価は間違ったものです。明らかに、この組織を嫌う理由はたくさんあります。確かに、われわれも、問題を多く抱えていることが分かっている組織に対して普通の注意を払おうとはしないでしょう。しかし、Jeffreyが引用している理由は、現時点で私が知る限り、批判に値すると私が思う理由とは違います。

W3Cはこれまでにないほど、興味のある新しい人々に対して開かれています。動きは遅いことは確かであり、一部のセクターに限られているかもしれません。しかし、閉鎖的な組織として見られているだけで、実際には違います。ただし参加する場合は、イニシアティブを持っておく必要はあります。

なんと、彼らは私を参加させてくれました。私自身はどうかといえば、平凡なトラブル(問題)であることはご存知でしょう。