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EOTの標準化

2008年8月21日
フロントエンド・エンジニア 矢倉

CSS3の機能の一つに、サーバー上に置いたフォントをクライアントが読み込み表示させる「Web Fonts」という機能があります。もともとはCSS 2.0で定義されていたものの、実装が進まなかったことからCSS 2.1では省かれ、現在はCSS3のモジュールとして作業中です。

さて、昨年からWeb Fontsの実装が活発になってきています。Safariはバージョン3.1でWeb Fontsをサポートし、Opera、Mozillaも実装に向け動いているようです。

しかし、Internet Explorerはこれよりもずっと早く、バージョン4の時代からWeb Fontsを部分的にサポートしています(また、Netscape 4も同様の機能をサポートしていました)。

「部分的」とここで書くのは、IEがTrueTypeやOpenTypeではなく、EOT (Embedded OpenType)という埋め込み用フォントファイルのみに対応しているからです。

Web Fontsにはサーバー上のフォントファイルを第三者にダウンロードされる、またはユーザーが使用許諾条件の確認無しに利用されてしまうといった懸念があります。EOTは特定ドメイン以外での利用を禁止するといったアクセス制限をかけられるため、ひとつの解決策として考えれられています。

しかしながら、EOTの仕様とそこで利用されているMicroType Expressという技術はプロプライエタリなものです。このため現在、EOT仕様の標準化について、W3Cでワーキンググループを設置することが検討されています。

公開されているEOT Working Groupの憲章(草稿)を読むと、来年9月までにEOT仕様を勧告するという予定になっています。EOT仕様はMicrosoftが提出した仕様と近づけたいとのことで、相互運用性を考えていることがうかがえます。

追記 (2010-03-19): EOT WGによるEOTの標準化はその後頓挫しました。しかし2010年3月に、WOFFという新しいWebフォントフォーマットを策定するためのWeb Fonts WGが発足しました。詳しくは「Web Fonts WGの設立、WOFFの標準化へ」をごらん下さい。