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新たなるプロフェッショナリズムを超えて

2005年12月2日
フロントエンド・エンジニア 木達

2005年11月16日
Holly Marie Koltz著

(この記事はWeb Standards Project(WaSP)における投稿記事「Beyond New Professionalism」を翻訳したものです。当Blogは翻訳の正確性を保証いたしませんので、必要に応じ原文を参照ください。)

Mollyが最近書いた記事「Web Standards and The New ProfessionalismWeb標準と新たなプロフェッショナリズム)」のなかで、彼女は次のように述べています。

今日私は、この新しいプロフェッショナリズムが、自分達自身とお互いに対する教育への責任を有すること、そしてディズニーストア・イギリスのような事態が二度と起こらないことを確実にすることを意味すると信じています。

WaSP EduTF(Education Task Force、教育タスクフォースの意)の一員として、私たちのグループとして、新しいプロフェッショナルとして、あるいは個人として、より多くの領域でより一層の努力を必要としていることを書きたいと思います。自分達をお互いに教育し合うというのは、良いプランでありスタートでもありますが、十分でありませんし、目新しいことでもありません。私たちは教育者、学校、プログラムやコースに対して変化を教え、促進し、提唱する必要があります。多くの場合、Web関連の教育はWeb標準に完全には則していない、中途半端な状態にあります。多くの場合、学位やトレーニングはさほど重要ではありません。成し遂げるべき仕事は山積しています。

私たちの多く、つまり古参のプロフェッショナル達は数年間にわたり、Web標準やアクセシビリティ、各種のガイドラインを支持するばかりでなく、手助けや情報、リソースを提供するメーリングリストやオンライン・コミュニティに参加してきました。私たちは自らの行為を信頼し、また情熱的であればこそ、そうしてきたのです。教え導くことは容易ではありませんでしたが、変化や理解が促進される様子を見るのは、価値あることだし興奮もします。私たちがこれを1999年代半ば~後半以後実践してきた結果として、初期の啓蒙や情報交換の多くが、今日ある全ての素晴らしい情報やリソースにとっての土台となりました。私たちは、Webコミュニティの外に目を移し、他の領域でも仕事を始める必要があります。

学習は長い道のりでしたが、それは終わることのないプロセスであると私たちは知っています。CSSやマークアップにおける教育や技能は、The CSS Pointers GroupWestciv: House of StyleRich in StyleBrian WilsonHTML helpAnyBrowser.orgHTML GoodiesMatt HaugheyTodd FahrnerDave BaronEric MeyerJeffrey Zeldman、そしてW3CWeb Standards Projectを含む他のいくつかの著名なWebサイトが提供する記事によってもたらされてきたかもしれません。私たちの多くにとって、テキストエディタとW3Cの文法チェッカこそが道具であり、初めて文法チェッカを使うことは一種のチャレンジだったものです。それらは私たちが今なお使用している同じ道具でもあります。私たちはHobbes' Internet Timeline (1950-2004)DejaVu.orgにあるような長い道のりを歩んできましたが、これから先に向かって伸びる道もまた長く、たくさんのすべきことがあります。

私たちは一層努力し、また教育にフォーカスする必要があります。 Mollyの最近の記事で、彼女はAndy Clarkeの言葉を引用しています。

今や、人々がWeb標準やアクセシビリティのテクニックを学ぶのを手助けする多くのWebサイトやBlog、出版物があるのだから、意味的なマークアップやCSSを用いない理由など存在しません。

Edu TFでは、Web標準とアクセシビリティにまつわるテクニックを教えない理由など無いことを認識しており、また実際にはそれらが教えられていない理由の多くを調べています。これらの問題を指摘するのは、私たちの仕事の一部でしょう。 そういうわけで、私たちは非常に忙しい日々を過ごしてきました。

多くの学校ではWeb標準やガイドライン、アクセシビリティ、ベストプラクティスを教えていません。それどころか、全く正反対のことが教えられています。ちょうど数週間前のことですが、ある学生がWebコースに失望してEdu TFに連絡してきました。彼が言うところによると、Web標準やCSSを認識し、その使い方を知っていたにも関わらず、最後のプロジェクトで彼はレイアウトのためにtable要素を用いなければならなかったそうです。もし彼がそうしなければ、成績は下がっていたとのこと。彼は自分の仕事やスキルがより高く評価されるよう、学位を得るべくしてそのコースを登録したのです。この状況には酷く誤った問題が存在します。その学位は何を意味するでしょう?その学位は、必要とされるスキルを身につけたという教育の証しを意味するでしょうか?いいえ、そんなことはありません。この学生と私たちは連絡を取り続けており、CSSを使わないようアドバイスしているWebスクリプティングのコースに関する情報を彼は送ってくれました。このような学校やコースがひとつだけなら取るに足りませんが、しかし似たような話はたくさんあります。私たちの多くが、このような状況と同様の話が、教育現場の大半をあらわしていると感じています。私たちは、この問題を白日の下にさらす必要があります。

Digital Web Magazineに最近掲載されたMark Trammellへのインタビューのなかで、Markは教育に関するアイデアをいくつか披露しています。大学におけるWebの教育についての彼の発言を紹介します:

大学におけるWebデザインコースは、若き開発者達が表面的な見栄えや振舞いをコンテンツから分離することを考え始めるには理想的な場ですが、残念ながら、それは極めて稀なことです。 私が高等教育のWebデザインコースに在籍する学生からもらう手紙が真実のバロメーターであるならば、学校はWebの進歩に追いついていません。 1998年頃の開発における慣習を教えられるのがせいぜいであることに対し、学生はよく不満を口にします。Photoshopを使った画像のスライスとテーブルベースのレイアウトがほとんどのコースを支配しており、それゆえにWebは苦しまされているのです。

Edu TFは貧弱な教育の現状にいくつかの要因、あるいはチャレンジが存在することを知っており、私たちは教育者、Web開発者、学生、支持者らと共に協働しています。教育者、スタッフ、管理者らはこれらのスキルを学生に教えていないか、あるいは認識すらしていないかもしれません。学校で提供されるコースの多くはアップデートされるべき教材についての強固なガイドライン、勧告、アウトラインを有していません。WebオーサリングやWebデザインといったコースは技術、芸術とデザイン、コミュニケーション、ビジネス、社会学、心理学などのどの学部に収まらず、教材や学習についても同様に適さないかもしれません。Webデザインは機能性、ユーザビリティ、および美意識に関するものです。学生たちは多くを学ぶ必要があり、コースの修了までにWeb標準、数々のガイドライン、アクセシビリティ、および(内容と見栄え、振る舞いの)分離を含む基本的でしっかりした土台と技能のセットを身につけるべきです。自らの技能をいかにアップデートし、また今後登場するであろう技術に追随し続けるか、そしてどうネットワークを組織し新しい情報をみつけスキルを磨くかを学び変化し続けるかも、学生たちは意識すべきでしょう。

Web標準やガイドライン、アクセシビリティ、および(内容と見栄え、振る舞いの)分離についてのスキルは、開発者とデザイナーの双方が身につける必要があります。私たちは、より良いアプリケーション、ソフトウェア、およびコンテンツ管理のソリューションを必要としています。私たちは、より良いeコマース用アプリケーション、教育用ソフト、コースウェアも必要とします。従い、コンピュータサイエンスの学部に属する開発者らもWeb標準を知り、そして学ぶ必要があります。

Trammellへのインタビューはまた、読む価値のあるコメントをいくつか含んでいます。特にRichard Quaiteは、次のように述べています。

私は人材を募集するたび、適当な卒業生の不足に関して不平を言ったり悩まされるのに数年を費やしてきましたが、きっとそれは私だけでは無いと思います。

Quaiteは、既にこの分野で訓練され働いている他の人々が、サポートや機会の不足に嫌気が差すのを心配します。教育を支援するのを助けるうえで、彼はいくつかのアイデアを与えてくれました。雇い主として、私たちは大学生のためにインターンシップや職務経験を提供することができるでしょう。カンファレンスやイベントに際し、大学生、学校、あるいは学部へと招待の枠を広げることができるでしょう。学生にインターンシップまたは職務経験の機会を提供するには、WaSP EduTFメンバーとして学生が何を知っているのか、そして何を教わっているか調べる必要があります。もしWeb標準やガイドライン、アクセシビリティが含まれていないようであれば、学校とそのプログラムのスタッフに連絡を取り、教材を変えるか更新する必要のあることを知らせなければなりません。Web標準を教える学校は、より多くのインターンシップや業務経験のパートナーシップを持つことで、学生のために卒業後の就職先の斡旋や求人増加の可能性を増すことになるかもしれません。また、これらのパートナーシップを結び卒業生のための機会を設ける学校では、より多くの学生がプログラムに魅力を感じるかもしれません。私たちは、多くの方法でWeb標準を促進することにおいては、創造的である必要があります。

繰り返しますが、これは私たちのコミュニティにおけるWeb標準の現状を、コミュニティの枠を超えて未来のために促進し、支持し、変化させるためにできることの一部に過ぎません。私たちにはこの先に多くの仕事があり、Webの教育に携わる人々のための手助けや情報を得る必要があります。より多くの学校が、新たなプロフェッショナルとしてのWebデザイナーや開発者を教育し、生み出し始める必要もあります。

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